○茨城町認知症総合支援事業実施要綱

平成30年3月31日

要綱第18号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 認知症初期集中支援推進事業(第4条―第13条)

第3章 認知症地域支援・ケア向上事業(第14条―第16条)

第4章 雑則(第17条)

第5章 補則(第18条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この要綱は,介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の45第2項第6号の規定に基づき,茨城町認知症総合支援事業(以下「総合支援事業」という。)の実施について必要な事項を定めるものとする。

(実施主体)

第2条 事業の実施主体は,茨城町(以下「町」という。)とする。

2 町長は,適切な事業の運営を確保することができると認める法人その他の団体に対して,事業の全部又は一部の実施を委託することができる。

(事業)

第3条 総合支援事業の実施内容は,次に揚げる事項とする。

(1) 認知症初期集中支援推進事業

(2) 認知症地域支援・ケア向上事業

第2章 認知症初期集中支援推進事業

(認知症初期集中支援推進事業の目的)

第4条 認知症初期集中支援推進事業は,認知症になっても本人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域のよい環境で安心して暮らし続けられるために,認知症の人やその家族に早期に関わる認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を配置し,早期診断及び早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする。

(支援チームの配置及び役割)

第5条 支援チームは,地域包括支援センターに配置することとし,認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師の指導の下,複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症の人(以下「訪問支援対象者」という。)及びその家族を訪問し,観察・評価,家族支援等の初期の支援を包括的かつ集中的に行い,自立生活のサポートを行うものとする。

2 支援チームは,地域包括支援センター職員,町関係課職員,かかりつけ医,かかりつけ歯科医,認知症サポート医,認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師,認知症疾患医療センター職員,介護事業者との連携を常に意識し,情報が共有できる仕組みを確保するものとする。

(支援チーム員の構成)

第6条 支援チーム員は,第1号に掲げる専門職2人以上及び第2号に掲げる専門医1人の合計3人以上をもって構成する。

(1) 専門職 次に掲げる要件の全てを満たす者

 保健師,看護師,作業療法士,精神保健福祉士,介護福祉士等の医療保健福祉に関する国家資格を有する者

 認知症ケア又は在宅ケアの実務,相談業務等に3年以上携わった経験がある者

 国が定める認知症初期集中支援チーム員研修を受講し,必要な知識及び技能を修得した者

(2) 専門医 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し,かつ,認知症サポート医である医師

(支援チーム員の役割)

第7条 前条第1号に規定する専門職は,訪問支援対象者の認知症の包括的観察及び評価に基づく初期集中支援を行うための訪問活動等を行う。

2 前条第2号に規定する専門医は,認知症に関して専門的見識から他の支援チーム員に指導,助言等を行い,必要に応じて他の支援チーム員とともに訪問支援対象者等を訪問し相談に応需する。

3 訪問支援対象者等の初回の観察及び評価の訪問は,原則として医療系職員及び介護系職員それぞれ1人以上とし,合計2人以上の者で行うものとする。

4 観察及び評価票の記入は,保健師又は看護師が行うものとする。

(訪問支援対象者)

第8条 訪問支援対象者は,在宅で生活している40歳以上のものであり,かつ認知症が疑われる人又は認知症の人のうち,次の各号のいずれかに該当するものとする。

(1) 医療サービス若しくは介護サービスを受けていない者又はそれらを中断している者で,次のいずれかに該当する者

 認知症疾患の臨床診断を受けていない。

 継続的な医療サービスを受けていない。

 適切な介護サービスに結びついていない。

 介護サービスが中断している。

(2) 医療サービス又は介護サービスを受けているが,認知症の行動・心理症状が顕著なため,対応に苦慮している者

(事業内容)

第9条 認知症初期集中支援推進事業の内容は,次に掲げるとおりとする。

(1) 支援チームに関する普及啓発

地域住民並びに関係機関及び団体に対し,支援チームの役割及び機能について広報活動及び協力依頼を行う。

(2) 認知症初期集中支援の実施

 訪問支援対象者の把握については,支援チームが必ず地域包括支援センター及び認知症疾患医療センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮すること。

 情報収集及び観察・評価

本人のほか家族等あらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い,本人の現病歴,既往歴,生活情報等に加え家族の状況等を情報収集するとともに,指定された観察・評価票を用いて,認知症の包括的観察・評価を行うこと。

 初回訪問時の支援

初回訪問時に,認知症の包括的観察・評価,基本的な認知症に関する正しい情報の提供,専門的医療機関への受診及び介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び訪問支援対象者やその家族の心理的サポートや助言等を行う。

 専門医を含めた支援チーム員会議の開催

初回訪問後,訪問支援対象者ごとに,観察・評価内容を総合的に確認し,支援方針,支援内容,支援頻度等を検討するため,専門医を含めた支援チーム員会議を行うこと。必要に応じて,訪問支援対象者のかかりつけ医,介護支援専門員,町関係課職員等の参加も依頼すること。

 初期集中支援の実施

医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機づけ又は継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援,介護サービスの利用等の勧奨及び誘導,認知症の重症度に応じた助言,身体を整えるケア,生活環境等の改善等の支援を行うこと。この場合における当該支援は,訪問支援対象者が医療サービス又は介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし,概ね最長で6箇月を目安として行うこと。

 引継ぎ後のモニタリング

初期集中支援の終了を支援チーム員会議で判断した場合,担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引継ぎを行うこと。

また,専門職は引継ぎの概ね2箇月後に担当介護支援専門員等からサービスの利用状況等を把握するものとする。

 記録の保管

認知症初期集中支援に係る内容を記録した書類は,5年間保管しておくこと。

(3) その他認知症の初期集中支援に関し必要な事業

(委託料)

第10条 町長は,事業の全部又は一部の実施を委託した場合,支援チーム員の活動等の実績に応じて,委託料を支払うものとする。

(茨城町認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置)

第11条 支援チームの配置及び活動状況を検討し,関係機関及び団体と一体的に認知症初期集中支援推進事業を推進するため,茨城町認知症初期集中支援チーム検討委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会は,次に掲げる事務を所掌する。

(1) 支援チームの配置及び活動状況の検討に関すること。

(2) 認知症に係る医療機関及び団体との連携に関すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか,認知症初期集中支援推進事業について,町長が必要と認める事項

(委員会の組織)

第12条 委員会は,委員13人以内をもって組織し,医療,保健,福祉に携わる関係者及びその他町長が必要と認める者のうちから,町長が委嘱する。

2 委員の任期は,3年とする。ただし,再任を妨げない。

3 職名をもって委嘱された委員は,当該職を失ったときは,委員の職を失う。

4 委員に欠員が生じた場合における補欠委員の任期は,前任者の残任期間とする。

5 委員会に,委員長及び副委員長を置き,委員の互選により定める。

6 委員長は,委員会を代表し,委員会を総括する。

7 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは,その職務を代理する。

(委員会の会議等)

第13条 委員会の会議(以下「会議」という。)は,委員長が必要に応じ招集し,委員長が会議の議長となる。

2 会議は,委員の過半数が出席しなければ,開くことができない。

3 会議の議事は,出席委員の過半数をもって決し,可否同数のときは,議長の決するところによる。

4 会議について,委員長が必要と認めるときには,関係者の出席を求め,説明又は意見を聴くことができる。

5 町長は,委員の活動等の実績に応じて,報償費の支給をすることができる。

6 委員会の庶務は,保健福祉部長寿福祉課において処理する。

第3章 認知症地域支援・ケア向上事業

(認知症地域支援・ケア向上事業の目的)

第14条 認知症地域支援・ケア向上事業は,医療機関,介護サービス及び地域の支援機関等の間の連携を図るための支援並びに認知症の人及びその家族を支援する相談業務等を行う認知症地域支援推進員(以下「推進員」という。)を配置し,当該推進員を中心として,医療,介護等の連携強化等による,地域における支援体制の構築及び認知症ケアの向上を図ることを目的とする。

(推進員の配置)

第15条 次の各号のいずれかの要件を満たす者を,推進員として,地域包括支援センター等に配置するものとする。

(1) 認知症の医療又は介護における専門的知識及び経験を有する医師,保健師,看護師,作業療法士,精神保健福祉士,社会福祉士又は介護福祉士

(2) 前号に掲げる者以外で,認知症の医療又は介護における専門的知識及び経験を有する者として町長が認めた者

2 町長は,必要に応じて茨城県と連携しながら,研修会,関係者によるネットワーク会議等の機会を通じて,推進員の活動を行う上で有すべき知識の確認と資質の向上に取り組むものとする。

(推進員の業務内容)

第16条 推進員の業務内容は,次に掲げるとおりとする。

(1) 認知症の人に対し,状態に応じた適切なサービスが提供されるよう,地域包括支援センター,医療機関,介護サービス事業者,認知症サポーター等の地域において認知症の人を支援する関係者の連携を図るための取組

 認知症ケアパス(状態に応じた適切な医療や介護サービス提供の流れ)の作成・普及に関すること。

(2) 推進員を中心に地域の実情に応じて,地域における認知症の人及びその家族の相談支援及び支援体制を構築するための取組

 第6条に規定する支援チームとの連携及び調整に関すること。

(3) 次に掲げる事業の実施に関する企画及び調整

 病院,介護保険施設等で認知症対応力向上を図るための支援事業

 地域密着型サービス事業所,介護保険施設等での在宅生活継続のための相談及び支援事業

 認知症の人の家族に対する支援事業

(ア) 認知症の人,その家族,地域住民,専門職等がカフェ等の形態で集う取組(以下「認知症カフェ」という。)等の開催

(イ) 認知症カフェ等を通じて顔なじみになったボランティアが,「認とも」として,認知症の人の居宅を訪問して一緒に過ごす取組の実施

(ウ) 認知症の人の家族向けの介護教室の開催の実施

 認知症ケアに携わる多職種協働のための研修事業

第4章 雑則

(守秘義務)

第17条 支援チーム員,委員会の委員及び推進員並びに第2条第2項の規定により事業の委託を受ける者(その従業員を含む。)は,認知症総合支援事業の実施において知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

第5章 補則

第18条 この要綱に定めるもののほか,必要な事項は,別に定める。

この要綱は,平成30年4月1日から施行する。

(令和2年要綱第51号)

この要綱は,公布の日から施行する。

茨城町認知症総合支援事業実施要綱

平成30年3月31日 要綱第18号

(令和2年12月2日施行)