認知症高齢者等による損害賠償への備えについて
認知症高齢者による損害賠償とは
「認知症」とは、様々な病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障を来した状態をいいます。
時間・場所がわからなくなることで徘徊から行方不明になったり、判断や理解力の衰えから事件や事故をおこしてしまう可能性があります。
故意または過失によって他人の権利や利益、財産などを侵害してしまった場合、生じた損害を賠償する責任を負うことになります。
主な事例
- 介護施設で暴れてスタッフやほかの利用者に怪我をさせてしまった
- 自転車で歩行者をはねてしまった
- 他人の物を壊してしまった
- 水道の栓を閉め忘れて漏水させてしまった
家族が損害賠償責任を負うことも
「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。(民法第713条一部抜粋)」
とあるとおり、事件や事故を起こした認知症高齢者にその責任能力がないと判断された場合は、賠償責任を負わないことになります。
しかしながら、
「責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。(民法第714条一部抜粋)」
とあることから、家族等が代わって賠償を求められる可能性があります。
起こりうる損害への備え
経済的負担に備える対策の一つとして、個人賠償責任保険があります。
個人賠償責任保険は、本人もしくは家族が、日常生活において第三者に怪我をさせたり、物を壊してしまったりして、法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償する保険です。
火災保険や傷害保険、自動車保険などの特約(オプション)として加入する場合が多くなっています。
すでに加入されている方は、現在の保険内容が、もしもの時に補償対象になるのか、再確認することも大切です。
認知症高齢者が、重大な事故を発生させないような環境づくりはもちろんですが、起こってしまったときのために備えておきましょう。








































